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My Hakone Time by 天悠

箱根人だから教えられる(番外編)木象嵌職人×アートディレクター対談「箱根の伝統工芸で感動を伝えたい」
箱根人だから教えられる(番外編)
木象嵌職人×アートディレクター対談
「箱根の伝統工芸で感動を伝えたい」

4月20日にオープンする「箱根小涌園 天悠」は、

モダンなデザインの中に箱根の自然と伝統が息づくおもてなしの宿。

館内のインテリアや、ウェブサイトやポスターなどにも

デザインのモチーフとして用いられているのが、

箱根の伝統的な木工工芸、寄木細工と木象嵌(もくぞうがん)です。

そこで今回は、箱根の木象嵌職人と

天悠のポスターなどを手がけるアートディレクターの対談で、

伝統工芸の魅力をひもときながら、箱根らしさの秘密を探ります。

「木工細工でこんな細かい線や表情豊かな面の表現ができることに驚きました」

「木工細工でこんな細かい線や表情豊かな面の表現ができることに驚きました」

箱根の伝統的な木工工芸といえば寄木細工が知られていますが、もうひとつのすばらしい匠の技が木象嵌です。

木象嵌とは、厚さ1.5cmほどの板を絵柄に合わせてくりぬき、はめ込み、木の天然の色合いや木目を用いて絵を描いたもの。直線的な幾何学模様を特徴とする寄木細工に対して、木象嵌は曲線と直線を自在に組み合わせて風景などを描くのが特徴です。

 

現在、この木象嵌の職人は日本にも数名のみで、厚生労働省の「木象嵌技能士」に認定されているのはたった4名だけ。

そのひとり、高橋貞雄さんの工房は、小田急線新松田駅から車で20分ほど、丹沢の山々に囲まれ、きれいな川の流れる穏やかな場所にあります。今回、工房を訪ねたのは、「天悠」のキービジュアルを手がけるアートディレクター、髙野彩乃さん。木象嵌の魅力を探っていただきました。

 

髙野「子どもの頃から箱根には家族旅行でよく訪れていて、寄木細工は見たこともあったしどういうものか知っていたんですが、木象嵌については今回のプロジェクトで初めて知りました。木工細工でこんなに細い線や柔らかな曲線、表情豊かな面を表現できるんだ! と驚きました」

 

高橋「箱根には、江戸時代から寄木細工があって、明治時代に入ってからヨーロッパの象嵌細工の影響を受けて、やってみようと始まったのが木象嵌なんですよ。もともとは浮世絵のような図柄が多かったのですが、今は箱根の風景や草花を描いたものも多いですね。キャラクターものの制作の依頼を受けることもあります」

「木目も色もざまざまな木材を見ていると描きたい風景が浮かんでくるんです」

「木目も色もざまざまな木材を見ていると描きたい風景が浮かんでくるんです」

髙野「どのように制作していくんですか?」

 

高橋「まず下絵を描いて、それぞれの線や面をどの木材で表現しようかを考えるところから始まります。たとえば、空を描くときに、入道雲のようにハッキリとした形の雲を描くならば白い木をくりぬいて作ってもいいですし、薄雲が浮かぶ空ならばたとえば木目を雲に見立ててみたり、木のもともとのグラデーションを活かして表現してみたりもできます」

 

髙野「そうすると、材料集めが一番重要ですね。材料がたくさんあればあるほど表現の幅は広がるわけですから」

 

高橋「そのとおりです。まずは木をよく知ること。材料としての木材もそうですが、植物としてその木がどういうふうに生えていて、どういう特徴なのかということも知っておきたいな、と思っているんです」

 

髙野「着色したように鮮やかな色の木もありますが、これも天然の色なんですか?」

 

高橋「そうです、面白いでしょう。この黄色い木は『ニガキ』と言います。その名の通り苦いんですよ。玉杢という水玉のような円形の模様が入った『クスノキ』は希少な木材です。最近はなかなか手に入りにくい木材も増えてきましたが、代わりに外国の新しい木材が入ってきたりもします。木目も色もさまざまな木材を見ていると、描きたい風景が浮かんでくるんですよ」

「木目も色もざまざまな木材を見ていると描きたい風景が浮かんでくるんです」
「箱根を知っている人もそうでない人も、もう一度箱根に出会ってほしい」

「箱根を知っている人もそうでない人も、もう一度箱根に出会ってほしい」

髙野「普段は高橋さんは風景を描くことが多いんですか?」

 

高橋「そうですね。箱根に生まれ育っているので、朝もやの芦ノ湖の美しさや波の音、通学途中に見た逆さ富士など、そういう自然豊かな風景がやっぱり今の自分のルーツにあるのかな、と思います。あとは、建築や船舶のような、直線的で細かな絵柄を作るのも好きですね」

 

髙野「『天悠』のロビーのデザインがとてもスタイリッシュなので、高橋さんの木象嵌で描いたらすごくいいんじゃないかな、と思いました。モダンなものを伝統工芸で描くというコラボレーションが実現できたら面白そうですね」

 

高橋「いいですね! 今はまだ木象嵌を知らない人も多いので、寄木細工と並ぶ箱根の伝統工芸として知ってもらえるようなことをしていきたいと思っています」

 

髙野「私は天悠のアートディレクションを手がけるにあたって、箱根の伝統工芸でもう一度感動してもらいたいと思っているんです。なので、箱根の伝統工芸をデザインに用いたポスターが、箱根をよく知る人の目にも、まだあまり知らない人の目にもとまって、『これなんだろう?』と興味を持って箱根に来てもらえるとうれしいですね!」

木象嵌技能士 高橋 貞雄さん

神奈川県箱根町出身の高橋さんは、鉄道会社で技師として勤めたのち、木象嵌職人石川善弘氏に師事。6年間の修行ののちに独立し、「木象嵌工房 貞」で作品作りを続ける。日本各地の百貨店やギャラリーで個展やグループ展を開催。小田原駅の「HaRuNe小田原TAKUMI館」で作品を取り扱っている。

アートディレクター 髙野 彩乃さん

神奈川県出身で小さな頃から箱根にも親しんできた髙野さんは、多摩美術大学を卒業後、広告代理店に入社。アートディレクターとしてさまざまな広告に携わってきた。今回、「箱根小涌園 天悠」のアートディレクションを担当している。

 
女子旅にぴったりな噂の宿
「箱根小涌園 天悠」。

居心地のよい宿は、女子旅に欠かせないもの。こだわり派の女子におすすめしたいのが2017年4月20日にオープン予定の「箱根小涌園 天悠」。箱根の“自然”と“和”のおもてなしをコンセプトにした宿で、非日常感を味わうことができます。絶景の大浴場露天風呂や各部屋に設置されたかけ流し温泉の露天風呂など温泉地ならではのしつらえのほか、スパも併設。ロケーションを生かしたアクティビティなど、ここでしかできない体験ができるのも魅力です。

箱根小涌園 天悠
住所 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
開業 2017年4月20日
http://www.ten-yu.com/

※すべての情報は2017年3月15日時点のものです

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